こちらの青い芝は

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Jリーグ(ガンバ大阪)とお酒の話など

倉田選手の負傷についてガンバ大阪の公式発表 ~ついでに脳しんとう復帰プログラムを調べてみた~

■倉田選手の負傷について

10月19日のホーム川崎戦で、倉田選手が頭部を負傷し退場。ヘディングシュートを撃った際、川崎の選手と頭部同士が強く衝突したことによるものでした。

試合当日は救急車で搬送されたとの情報もあり、非常に心配しました。

そして21日、ガンバ大阪のリリースがありました。

「脳震盪(のうしんとう)、左頬骨骨折(ひだりきょうこつこっせつ)」とのこと。

[参考(公式Twitter)]

 

例のごとく全治にかかる日数などは非公表となっておりますが、サカダイWebの記事によると「全治3~4週間の負傷と診断された」とありますので、これは取材して得た情報かと推測します。

[参考]「命に別状がなくてよかった…」G大阪の倉田秋が脳震とう、左頬骨骨折で3~4週間の離脱 | サッカーダイジェストWeb

 

残留争いが激化する中で倉田選手の離脱は非常に痛いですが、命に別状がなかったことにひとまず胸をなでおろしました。

 

■「脳しんとう復帰プログラム」って何?

で、この機会に脳しんとう復帰プログラムの内容について調べてみました。

脳しんとうになったら消化しないと復帰できないよっていうもので、大体1週間くらいかかるという程度の認識でしかありませんでした。ただ、選手によっては次節に復帰したり、大事を取って出場が見送られたりとさまざまです。なので、そもそもどんなプログラムなのか、症状によって内容が異なるのかなどなど、気になっておりました。

 

検索してみたらすぐにJFAガイドラインが出てきましたので抜粋します。さすがに表をそのままスクショするのはいかんかなと、スプレッドシートに転記してそれをスクショして貼り付けという煩雑な手順でやってます。効率のよい方法をご存じの方はご教示ください・・・。

[転記元]

競技中、選手に脳振盪の疑いが生じた場合の対応【サッカー日本代表、Jリーグ対象】

<以下、転記>

1: 競技中、選手が頭頸部を強く打ったと主審が判断した場合、主審はすみやかに当該選手のチームドクターをピッチ内に呼び、チームドクターは診断をする。主審の判断、またはチームドクターからの要請を受けた主審からの合図により、ハードボードの担架を適宜ピッチに入れる。

2: チームドクターは、当該選手に脳振盪の疑いがある場合、自分の拳を頭の上に乗せ、主審に「脳振盪の診断を始める」旨伝える。

3: それにともない、主審は時間の計測を始め、最長3分間を診断の時間として認める。

4: チームドクターは、脳振盪評価用紙(Pocket SCAT2)等を使用するなどし、適切な診断を行う。

5: 早くに診断が終わった場合には、その時点で試合再開とする。3分間を超えても、診断が終わらなかった場合、主審は当該選手を一旦ピッチ外に出し、プレーを再開させ、チームドクターは引き続きピッチ外で診断を行う。

6: 主審は、チームドクターの許可がある場合に限り、選手が競技に復帰することを認める。

7: 主審は、脳振盪の診断のために使用された時間を把握し、その時間を通常のアディショナルタイムに追加する。

なお、脳振盪と診断された選手は、脳振盪からの復帰プログラム(表1)にもとづき、段階的プログラムを組んで復帰するようにする。

脳しんとう復帰プログラム(JFA)-表1「脳振盪からの段階的復帰」

脳しんとう復帰プログラム(JFA)

<転記終了>

 

ちなみにこれはチームドクターが随行している日本代表戦、Jリーグのトップチームにおけるものだそうです。これら以外で医療環境が整っていないケースで発生した想定のガイドラインもありましたが、復帰プログラムは同じものでした。

上記の通り、復帰プログラムだけでなく試合中の対応についても詳しく書かれていたので併せて転記しました。かなり細かい内容であることがわかるかと思います。

改めて見るのが怖かったですが、今回の倉田選手の負傷シーンをDAZNでも見返してみました。随時リプレイなどが挿入されたのもあって、ここにある「自分の拳を頭の上に乗せ、主審に『脳振盪の診断を始める』」ことを示す動きは確認できませんでした。実際に行っていたのか、口頭の申し出でも認められるのかは不明です。ただ、一連の知識を持っていると、現地観戦で一瞬見逃した隙にこういう事態が起こっても変にヤキモキする必要はないのかなあと思います。ふざロスだと怒ったりとかね。もちろん負傷の度合いを心配するのには違いありませんが。

 

先日ラグビーの試合を見ていると、頭部を強打した場合は診察のため一時交代をするシーンがありました。ぜひサッカーでも同様のルールを導入してほしいなと思います。

[追記]このルールの導入を検討しているというAFP通信の記事を見つけましたのでご参考までに貼っておきます。

[参考]サッカーで脳振とうの新ルール検討、一時的な選手交代を可能に

 

■で、今回調べる対象だった復帰プログラムについて

URLを貼った方のページでは記載がありませんでしたが、各ステージごとに最低一日費やすように求められています。また、各ステージで脳しんとう関連の症状(頭痛や吐き気など)が出た場合は24時間の休息を取り、症状の出ていなかったステージからの再開となるとのことです。最後のステージ6が通常の競技参加=試合復帰となりますので、仮にスムーズにいけば約1週間で復帰という事前の認識は概ね合っていたようです。 

選手によって1週間後の試合に出たり出なかったりとバラつきがあるのは、どこかのステージで休息を挟んだ、あるいはステージ5の練習復帰まで消化したものの、それまでのステージ消化のための離脱によってコンディションが試合にでる水準まで上がらなかった、次節に向けた戦術的な落とし込みが間に合わなかった、などの要因が考えられそうです。事前に想像していた症状の重篤度などでプログラムが分かれているということではないようです。

いろいろ総合すると、今回の倉田選手の全治3~4週間という報道については頬骨骨折の治療期間が大半を占めるかと素人推測をしますが、骨折の治療期間中に初期ステージのプログラムを消化できるのか、そのあたりは今回調べた限りではわかりませんでした。

 

■彼のアレが効果的らしい

そのままあれやこれやと調べてみると、マウスガード(マウスピース)の装着は脳しんとうの予防に効果がある、という記事を見つけました。

アメフトやボクシングなどでは装着の義務化、ラグビーやホッケーなどでは一部着用義務(アンダー年代など)とされており、競技によっては色などの規定もあってボクシングだと赤は禁止されているようです。出血の度合いがわかりにくくなるからですかね。

で、サッカーはというと「着用可」だそうです。ガンバサポのみなさんはおそらくダイキ・ニワの姿が浮かんだかと思いますが、そのほか思い出す限りでは豊田陽平選手も付けてますよね。再発や後遺症のリスクがある怪我ですし、この機会に倉田選手も装着してみてはいかがかと老婆心ながら考える次第です。

 

■突如よみがえる記憶(余談)

自身を顧みると、中学年代以降は陸上競技の経験しかないので頭部の接触についてはほとんど考えることはありませんでしたが、よくよく考えてみると投てき競技の練習を行っているそばだとか、学校内の共用グラウンドでいろんな球技のボールが飛び交う環境下で練習していました。

とはいえそんなに危ない目に遭った記憶はないなあ思った矢先、高校時に完全装備のアメフト部員と衝突して走行レーンから2つ3つ分くらい隣まで吹っ飛んだり、サッカーボールが死角から飛んできて側頭部にあたったりした記憶がよみがえりました。確か当時はどこにも異常がないと自己判断して練習を続けたはずですが、もしその時に頭痛や吐き気などの症状が出ても、軽いものなら無視していたかもしれません。

必ずしもみんなが医療環境の整った場でスポーツできるわけではありませんが、一通りの知識を頭に入れて、疑わしきはすぐに医師や保健教諭の診察を、っていう意識が大事だなあと改めて感じました。それはスポーツに限らないか。

 

長々書きましたが、倉田選手の順調な回復と今後の安全な競技生活をお祈りします。